2016年12月7日水曜日

憬月集(一)

自選の句集を始めてみる。名付けて憬月集。

朝の風落ち葉しらけて犬の道
   あさのかぜ おちばしらけて いぬのみち

朝寝坊たまご落として残り鍋
   あさねぼう たまごおとして のこりなべ

血しぶきか莫迦な妄想七竈
   ちしぶきか ばかなもうそう ななかまど

春までに土に帰れよ濡落葉
   はるまでに つちにかえれよ ぬれおちば

時雨垂る主空しき蜘蛛の糸
   しぐれたる あるじむなしき くものいと

青空や荒れ垣ごしに柚子ひかる
   あおぞらや あれがきごしに ゆずひかる

一つ減りし残り葉のまたひと葉散る
   ひとつへりし のこりはの またひとはちる

残り葉のはかなき枝に陽の光
   のこりはの はかなきえだに ひのひかり

残り葉や数ふる間にも空っ風
   のこりはや かぞふるまにも からっかぜ

吹きだまり茶の色みほん枯落葉
   ふきだまり ちゃのいろみほん かれおちば

花抱いてきらきら笑う山茶花の葉
   はなだいて きらきらわらう さざんかのは

寒風天に昼の月地に夕日
   かんぷう てんにひるのつき ちにゆうひ

そもそもの話
別宅

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